限られた会員だけにエクスクルーシブなモノやコトを提供する「Epicurean(エピキュリアン)」。経験は人生を豊かにするという代表・米澤多恵の想いに賛同し、起業家からクリエイター、スポーツ選手まで、多種多様なバックグラウンドを持つ方々が会員として名を連ねている。
そんなエピキュリアンたちの「人生の豊かさ」を、「日経トレンディ」編集長を経て、現在は地域を軸とした全国各地のプロジェクトに参画している北村森が掘り下げていく本企画。
今回のゲストは、インテリアや雑貨の販売やコーディネートなど幅広く事業を手掛ける株式会社Francfranc 代表取締役 社長の高島 郁夫 さん。これまでLeaders放談など、エピキュリアンの企画にも登場してきた人物である。
そんな高島さんをゲストに迎え、米澤と北村が人生の豊かさについて語り合う。
突然ですが・・・・・・家を売りましたよね。
高島さんのご自宅を写真で拝見したのですが、単純なダウンサイジングという話ではない気がして。
ライフステージに合わせて、家って変わるものだと思ったんです。
家族が増える、子どもが独立して離れる、最後はひとりになっていく・・・・・・といったステージがありますから。
そのなかで、自分もそろそろ次のステージに行くのではないかと。
とは言うものの、家というものは自分や家族を表す存在でもありますよね。
まあ、娘たちは要らないみたいです。
それは驚きました。お子さんも、高島さんと同じような感覚をお持ちなんだ、と。
「これだけ維持費がかかるんだったらいらない」って言われました。
娘たちも、これからどこに行くかわからないですしね。
高島さんは、「家にまた住む人ができて、その方に大事にされて、それが繰り返されて・・・・・・。
長くそこに佇んでいるように」と、以前おっしゃっていましたね。
腕時計や革製品のように、単に売却というよりは、愛着を持って譲るという感じがしていて。
「落水荘」というフランク・ロイド・ライトの手になる古い邸宅がありますね。
「所有者が手放すのなら、すぐに購入したい」という希望者が常に10数人待機しています。
あるいは例えばフランスのお城もそうです。建物はあるけど持ち主は変わる。
その人たちに大切に受け継がれていく、というのはありかなと。
家にとっては嬉しいことかもしれないですね。
劣化していくものではなく、人の想いをのせて育んでいるようなイメージ。
そうですね。
本来、優れた建物や味わいのある建物はそうあるべきなんですが、いつしかそうならなくなってきてもいる。
高島さんは、それを実践されようとしたんだなと思います。
前の家を建てた時は、自分の人生はイケイケでしたからね(笑)。
次の新居は、どういう場所を選ばれたのでしょうか?
住むのは夫婦ふたりなので、まずは利便性を考えて都心にしました。
ただ、終の住処をどうしようかというのがあって・・・・・・。
奥さんは都心で一戸建てが良かったみたいですが、
どうなるかわからないので、まずは賃貸に引っ越して2〜3年住んで考えようと。
なるほど。
実際住んで2カ月くらい経ちましたが、考え方も変わってきました。
今の家を決めるにあたって、20〜30軒は見ましたが、自分たちが本当に満足できる家って1軒もなくて。
これはいつかは自分たちで作るしかないなと。いずれそういうプランにしようと、奥さんと話してます。
またそこで、次の楽しみが生まれたのですね。
そうですね。
ほとんどの物件で大きさや間取りがパターン化してしまっているのが、高島さんとしては気になったんでしょうか?
人生を楽しむ、豊かにすることにおける住環境の選択肢のなさというか・・・・・・。
間取りとヒューマンスケールって、大事なんですよ。
例えば田園調布で一番大きい家って、空間だけで1200平米あるんです。
そこに住んでるのが、70代老夫婦で・・・・・・。それはね、さすがに辛いと思うんですよね。
これは、以前の自分の家でも思いました。リビングから自分の部屋が遠くて、移動に結構なエネルギーを使うんですよ。
すると、家に帰っても1階のリビングには行かず、すぐに2階の自分の部屋に上がってしまう。
やっぱり間取りと広さって大事だと思うんです。
大きすぎるのも問題ですが、今の一般的な物件って、ヒューマンスケールがかなり小さく考えられていますよね。
話は変わりますが、毎日の食事も家と同じかもしれません。
値段と言うより、自分の心理的スケールに合っているものってあると思うんです。