
20年間で16回も北極行を経験し、2018年には日本人で初めて南極点までの約1,130kmを無補給単独徒歩で到達した男、荻田泰永さん。日本はもとより、世界でも稀有な北極冒険家です。北極を冒険する魅力を「極地を冒険する人が少ないから、情報も少なく、装備なども確立していない。だから、自分で考え工夫し、新しいものを作り出す。主体性がないと、冒険は単なる無謀でしかない。主体性こそが冒険の真髄であり、魅力なんです」と。そんな荻田さんが今年4月から5月にかけて、グリーンランドの極北地単独行」を決行。そう。これまでのひたすら北極点を目指す冒険とは主旨が違う。なぜか? 荻田さんは新たなテーマを見つけたと言います。それは、何度も交流した極地の民族、エスキモーが何百年と繋いできた伝承が途絶えようとしている現実を知り、はたと気づいたのです。エスキモーだけじゃなく、社会構造や環境問題のため、世界中で先人の叡智がどんどん失われていることを。そこで、まずは、もうエスキモーも行かなくなって久しい極地を舞台にした伝承をその目で確かめる冒険に出る、というわけです。
今回の会場は、荻田さんの国内拠点、冒険研究所内にオープンした「冒険研究所書店」です。冒険と書店、そこには強い繋がりがあるそうです。「冒険や探検は、何も考えずにむやみやたらと突っ込んでいくようなイメージがあるかもしれませんが、その根底には知的情熱がある。何かを知りたい、見たい、解き明かしたい。そんな思いを行為にしたのが、冒険や探検なんです」。ゆえに知的活動を掘り下げる場である書店を開設したのは、冒険家としては必然のこと。「書店に人が集い、既知と既知が出会うことで未知が生まれます。書店も冒険と同じく、未知への追求。身体行動である冒険と知的行動である読書は、一体としてあるものなんです」。未知を知る喜びは大人だけのものではありません。むしろ、子どもたちにとって何よりの体験になることでしょう。
今回のテーマ「先人の叡智の灯火を消さない」は、冒険が終了してからが本番。荻田さんが出発前から仕掛けているのは、冒険を絵本やテレビ番組にすること。先人の叡智が消えるのは、人間が引き起こした社会構造や環境の変化が原因。この現代に「生きる」私たちの問題です。でも、それは先進国や大都市に住む、何もかも便利で自然とかけ離れている人間には、実感しづらい。だから。少なくとも日本の社会に広く「冒険すること」「挑戦の意義」「環境変化の最前線の現状」を知らせようとしてくださっています。2022年に出版した絵本「PIHOTEK 北極を風と歩く」で日本絵本賞の大賞を受賞。絵を担当した井上奈奈さんは、世界のブックデザインコンペ「世界で最も美しい本コンクール」で銀賞を受賞した実力派です。当日は、井上奈奈さんも来場していただく予定です! 土曜の昼下がり、冒険研究所書店はワクワクする本でいっぱいの場所。ぜひこのワンダーランドへご家族と一緒にお越しください。
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