仁和寺をご存じでしょうか。京都の北西部に位置するこの寺は、888年に宇多天皇によって建立された、全国に約790箇寺ある真言宗御室派(おむろは)の総本山です。歴代の門跡(もんぜき)を天皇家から迎えた歴史的に大変貴重な寺であり、建造物や仏像、弘法大師直筆の書簡などには国宝や重要文化財が多数。1994年には世界文化遺産にも登録されました。人通りや車の往来も少ない地区にあり、京都の寺社の中でも有数の広さを誇る敷地内はなんとも厳かな空気に包まれています。他の有名な寺社とは違い、これまでは一般参拝以外、特別な体験を提供してこなかった仁和寺ですが、今回、日本財団の「いろはにほんプロジェクト」のもと、敷地内の由緒ある日本家屋を「松林庵」と銘打った宿坊として再生。その宿坊に泊まるだけでなく、参拝では立ち入れない場所を貸し切っての文化体験ができる企画を考案したのです。世界文化遺産を独り占めという、類い稀な体験です。
仁和寺が格式高いとされるのは、国内にわずかしかない門跡寺院だから。門跡寺院とは、皇族や貴族が出家した後に住職(門跡)を務める、国家的に重要な地位が認められた寺院のことで、仁和寺はこの筆頭格でした。門跡である天皇が自ら儀式や行事を執り行うために、京都御所から移築した宸殿(しんでん)と呼ばれる建物があるのが特徴です。宸殿を含め、茶室や白書院、庭などがある天皇のための一角を御殿と呼び、普段は拝観料を払えば、回廊からその内部や庭を見学できます。しかし、今回の貸し切りプランでは、普段は一切入ることの許されない、由緒ある宸殿内で夕食をいただいたり、お酒を飲んだり、自由に過ごすことができるのです。 御殿だけではなく、歴代の門跡が愛でたであろう回遊式の名庭を散策すれば、人工的な音や光のまったくない世界を堪能できる、まさに贅沢の極み。往時の門跡は何を想い、何を見ていたのか。そんな空想に耽けるひと晩を過ごせる、他ではできない体験です。
貸し切り当日には、僧侶が金堂や五重塔、経蔵など、普段は中に入れない場所まで案内してくださいます。宸殿での夕食はご自身で好きなものをケータリングして。特にこだわりがなければ、仁和寺に手配してもらうことも可能です。夕食後、僧侶から仁和寺と御殿についてのお話を頂戴し、仁和寺に関する知識を得たところで、自由時間。演奏会を開くのもよし、ダンサーを呼んで舞ってもらうのもよし。この特別な場所を使って、ひと晩思い切り楽しんでください(*火気厳禁です)。もちろん御殿内は電気も空調システムもない、古来のままの環境です。月明りの下で、風の音に耳を傾けながら、ただただ千年の歴史に思いを馳せるのもアリです。どうか、この日は携帯電話の電源を切って、当時のままの風情あふれる趣きを五感で楽しんでみてください。夜も更けた頃、そろそろ宿坊「松林庵」へ移動、となります。翌朝には、国宝の金堂内に入り、僧侶たちと一緒に朝勤行の体験も。1泊2日のまさに時空を越えた旅ではありませんか?
他では手に入れられない、
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