ハンガリーの国宝といわれる「マンガリッツァ豚」から日本の天然記念物「見島牛」まで、さまざまな肉の世界を堪能してきた、エピキュリアンの肉祭り。今回は、馬肉です! 馬肉といえば馬刺しですが、口にする機会はそう多くはないですよね。そもそも提供している店が少ない。それもそのはず、現在日本の馬肉生産はほぼ熊本県と福島県という限られた地域で限られた頭数が出荷されている状況。なぜなら、半年から1年あれば出荷できる牛や豚とは違い、馬は3〜5年を要すため、生産量が非常に少ないんです。しかし、遡ると、馬肉食の歴史は意外に長く。今から400年ほど前、肥後熊本藩初代藩主の加藤清正が郷土に広めたことに始まり、その滋養強壮効果もあって、馬肉は武将にとってなくてはならない食材に。吉原近辺に馬肉屋が多かったという話もなるほど、うなずけます。精力だけではなく、脂肪燃焼や美肌作りなど、馬肉は美容にも役立つ栄養の宝庫。融点が低く、口の中で脂が溶けるので、消化がよく、胃に優しいのも利点です。少し獣臭いという印象があるなら、それは鮮度の問題。実は馬肉は鮮魚並みの賞味期限で古いと臭くなります。フレッシュなものはまったく匂わないどころか別次元の美味しさ。鮮度のいい馬肉は、どんな肉より体によいご馳走なんです。
全国の馬肉生産者の中でも、市場の大半を担う熊本県の「千興ファーム」は馬肉業界の牽引者です。創業以来、長年、日本の馬肉文化を守ってきました。それでも馬肉が貴重といわれるのは、牛の出荷が年間約108万頭なのに対し、馬は約1万頭。1%に満たない量です。流通がかなり少ないため、大変貴重な肉といえます。実は、この約1万頭のうちの約7割がサラブレットということはほとんど知られていません。千興ファームも開業当初は食用の馬肉のみを扱っていましたが、近年、サラブレットを手がけるように。というのも、競馬のサラブレットの年間生産頭数は8000頭近く。ある意味「出口」を用意しなければ、増え続けるサラブレットを運用管理することは場所やコスト面も考えると不可能と言われています。そこで、千興ファームは立ち上がり、美味しく食べられるサラブレットを研究し、出荷できるまでになったというわけです。また、東京の広尾にある出資者だけが予約可能な店として知る人ぞ知る「ローストホース」。その人気は大変なもので、翌月の予約開始からたった3分で満席になるといわれていますが、このローストホースで 提供される馬肉は、千興ファームが直送しています。
千興ファームが生産する日本一の馬肉を料理するのは、肉おじさんこと、門崎熟成肉「格之進」の千葉祐士さん。日本の偏ったA5神話をものともせず、地元・岩手県の黒毛和牛に光を当て、一頭買いや希少部位、熟成肉といった今では当たり前のことを、20年も前から始めていた肉のエバンジェリスト。牛肉以外のお肉にも精通し、エピキュリアンのために貴重な機会を何回も提供いただいています。2月上旬、千葉さんがこの会のために千興ファームから送られた馬肉とサラブレット肉を考えられる限りの料理法で試した結果、これは!というコースが出来上がりました。同じ馬肉でも食肉用とサラブレットでは、肉の状態がまったく違う。例えば、サラブレットは赤身のみ、でも、食用は霜降りも混ざっています。そして、サラブレットは食用に比べて代謝酵素の活性が2倍! つまり、アミノ酸や栄養素が効率的に分解されます。これらの違いや特徴を最大限に感じられる千葉さんにしか作れない食べ比べコースに加え、当日は、千興ファームの菅浩光社長と大塚容紫子常務もわざわざ熊本から駆けつけてくださいます! 馬刺しだけしか食べたことがない人にとって、特上の馬肉料理を味わえ、その文化や背景の話が聞ける、東京で、いや、日本で唯一の一夜限りの宴です。つまり、このチャンスを逃したら二度と味わう機会は回ってこない……と思われます。ご予約はお早めに!
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