
食通こそが実感する「地方に名店あり」。まさにこの店もそのひとつです。東京の都心から約1時間。千葉県柏市にある「文菜華」は2004年に現オーナーシェフの渡辺展久さんが開店した中華料理店。柏出身の渡辺さんは、聘珍樓をはじめとする中華の名店で腕を磨いたあと、26歳で独立。地元柏の食材を使い、体に良い料理を提供したところ、徐々に評判を呼び、東京から全国へとその顧客が増えていき……ついには予約困難店に。そして昨年、1年間休業し、ビル1棟をリニューアルして今年1月に再オープンしたばかり。そのビルは1棟で飲食関連の免許を4つ持っている、日本でもかなり珍しいビルだそう。なぜそんなことを?という問いかけに、渡辺さんは「飲食業界の若手の働き方や多様性を少しでも広げられたら、ただ店で料理を作って出すだけの人間じゃない、個性を出せる仕事場になれば、という気持ちからです」。今回は特別に、食後、この日本で珍しいビルも見学できることになりました。
今回、エピキュリアンのためにご用意いただく特別コースのメインは北京ダックと鶏とキノコの鍋。まず、北京ダック。高級といわれる割にそんなに美味しいと感じない、と思われる人もいるかもしれません。ところが、渡辺さんのそれを食べると、ひと皿で3度驚くことになります。とあるミシュラン星つきのシェフが「初めて北京ダックを美味しいと思った」と感動したというエピソードも。その秘密は、今でも渡辺さんが自ら大変な思いをして作る味噌と、厨房に大きな存在感を放っている自家製窯。そして、放し飼いと独自飼料で育てているダックを通常よりも小さめの、とある“大きさ指定”で仕入れていること。なぜその大きさなのか? 理由はぜひ、直接渡辺さんに聞いてください。「日本一の北京ダックを作る」と決めたその味を堪能しながら。
今回のコースの白眉は裏メニューの「鶏とキノコの鍋」。実は、このお店もこの料理も、とあるエピキュリアン会員からのご紹介なんです。鍋のスープをひと口飲んで驚くのが、調味料をいっさい使っていないということ。この料理も渡辺さんが「広東料理の富貴鶏に勝るとも劣らない料理を」と考えた一品で、使用するのは、茨城の人里離れた場所で飼われている通称「名もなき鶏」。食通ならご存じの龍崗鶏の日本版を飼育している唯一の人から、これまた渡辺さん独自のとある“指定”で仕入れています。この鶏にキノコを詰めるのですが……。採れたてのフレッシュな天然キノコやオーガニックのキノコを時季によって8種類選びます。もちろん、生産者に特別オーダーするものもあり、「フレッシュなエノキはイカの食感とホタテの甘みがあります」と渡辺さん。そんな特別なキノコが詰まった特別な鶏を広東料理の最高のスープ「上湯」で蒸すこと8時間。すると、調味料を入れなくても信じられない味の鍋になるというのです。まずはスープ、そしてキノコと鶏の身を、最後にスープでご飯か麺を。鶏の脂身の食感と味に驚愕します。「せっかくなので、同じ鶏の食べ比べも楽しんでください」と渡辺さんの有難いご提案で、名もなき鶏の唐揚げも作っていただけることに。ご希望の方には、ビル1階の大きなセラーにある数々のワインや紹興酒や日本酒のマリアージュも可能。なんと、100本しか生産していない柏の初ビンテージワインもこの日のために押さえていただいたとのことです。至福の昼下がりをぜひ、お楽しみください。
他では手に入れられない、
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